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2-7: 原子核の変形, 第2部のまとめ |
「原子核の変形」
これまで学んできた 液滴模型 や 殻模型 においては, 原子核は基本的には 球形 であると考えてきました. しかし, 液滴模型では 原子核は 「ふわふわと やわらかい」 という考え方が 前提となっているように 思えます. と言うことは, 場合によっては原子核は 球形からずれていて, 変形 しているかも 知れないと 想像されます. 確かに, 質量数 A の ある領域においては, その荷電分布が 球形から大きくずれている 原子核が実験的に 見つかっています. つまり変形した原子核 が見つかっています. レインウォーター (アメリカ:1919−86) は 原子核が 楕円体型 に 大きく変形する可能性を 指摘し, その原因を考えました(1950). 下図 に 楕円体変形 の ようすが示されています. もし原子核が変形している とすると,球形を前提とした 殻模型 も 修正しなければ なりません. これは「やわらかい」液滴模型 と変形した「平均ポテンシャル」 とを連動させて 考えなければならない ことを意味します. A. ボーア (N. ボーアの息子, デンマーク:1922− ) と モッテルソン (アメリカ,デンマーク: 1926− ) は そのようなより発展した 原子核の模型 (統一模型) を提案し, その理論を使って, 数多くの実験事実を 分析・解明することに 成功しました. それらの詳細は あまりにも専門的になるので, 本セミナーでは 割愛することにします. |
「第2部のまとめ」
第2部で学んだことを まとめておきましょう. |
(1) | 現在までに存在が 確認されている 原子核 (核種) の 数は約 3000です. 各々の核種は 陽子数 Z, 中性子数 N で指定されます. |
(2) |
原子核の大きさ (半径) は
ほぼ
です. 原子核の密度は ほぼ一定です (密度の飽和性). |
(3) | 1 核子当たりの 原子核の結合エネルギーは ほぼ一定で, 約 8 MeV です (結合エネルギーの飽和性). |
(4) | 原子核は 全体的には 液滴のような構造であると 理解されます (液滴模型). |
(5) | 原子の場合と同様に, 原子核にも 周期律が成り立ち, この性質は 殻模型 によって 理解することが出来ます. |
(6) | 原子核は 場合によっては 楕円体変形することがあり, 変形を考慮に入れた 液滴模型+殻模型 (統一模型)が 成功しました. |
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