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「電気分解から見た電気素量」
いま, 電気分解において,
析出する元素の質量
をM,
その原子量
をA,
原子価
をv,
流れた電気量
をQ とし
ましょう.
つまりQ は
この電気分解において
運ばれた全電気量です.
M は電気量Q
と化学当量A/v
とに比例するから,
となります.
1/F は比例定数です.
さて, この電気分解を
原子説 の立場で
考えましょう.
1つの原子が運ぶことのできる
電気量は,
その原子の「手」の数, すなわち
原子価 v に比例する
と考えましょう.
1つの「手」が
運ぶ電気量を
電気の単位q
とすれば,
1個の原子が
運ぶ電気量は
vq
と考えるわけです.
いま 1 モルの元素が
析出される場合を考えると,
その中にはアボガドロ定数
NA
だけの個数の原子があり,
運ばれる電気量は
Q
= NA
x vq
です.
またこのとき
M
= A
ですから,
上の式から
が得られます.
F は ファラデー定数
と呼ばれ, 実験の結果
その値は
F = 96500 C (クーロン)/グラム当量
です.
つまり,
元素の 1 グラム当量
を電気分解で
生成するために
必要とされる
電気量が
96500 C (クーロン)
であることを意味します.
(1 グラム当量とは
化学当量だけのグラム数の
質量です.水素なら 1 グラムです.
上の図の硫酸銅の
電気分解の場合は,
銅の原子価は 2, 原子量は
63 ですから, 銅 31.5 グラムが
1 グラム当量です.)
以上の結果から,
電気分解における
電気量の
最小単位
は
となります.
これがミクロの世界における
電気素量
(電気の基本単位:
素電荷ともいう)
であることが
分かってきました.
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