第1部目次
前ページ
次ページ
1-2: 水素, ヘリウムの原子核

  「水素原子の原子核 = 陽子」
 ラザフォードは, 最も軽い元素である 水素 の原子核が 原子核の世界の基本的な 粒子の1つだろうと考え, これを陽子 (プロトン:proton) と名づけました. つまり,陽子は,水素原子から 1個の電子が剥ぎ取られた 水素イオンです. したがって, 陽子の電荷は +e です.
 陽子が原子核の構成要素 の1つであることは, ラザフォードによる 原子核の人工変換 の実験によって明らかになりました (1919).

  「ヘリウムの原子核 = α粒子」
 ラジウムやポロニウムのような 放射性元素から放射される α粒子が,ヘリウムの 原子核であることは ラザフォードらによって 確かめられました (ミクロの世界 −その1−: 原子によるα粒子の散乱 のページ参照).
 これらの研究の結果, ヘリウムの原子核,すなわち α粒子の質量陽子の約4倍, 電荷は2倍 (+2e) であることが 分かりました.

  「α粒子は何から出来ている?」
 α粒子の中に陽子が 含まれていることは 明らかでした. それではα粒子は, 陽子と 何とから構成されているのでしょう. ラザフォードの時代までに, 既に存在が知られていた粒子は, 陽子電子 でした, これらの2種類の粒子を組み合わせ, 結合させて, α粒子を構成することが 出来るでしょうか.
 素朴に考えると, 4個の陽子と2個の電子が 結合してα粒子が出来ていると 考えると, 質量・荷電の両面から 大変もっともらしく思えます. しかし,次ページで説明するように, この考えには重大な欠陥 があることが分かります.

  第1部目次へ戻る 前ページへ戻る 次ページへ進む