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3-4: 核 融 合

   この第3部のトップページ 3−1:「核エネルギーの源泉」のページ において, 原子核反応の 発熱反応の1例として, 2個の重陽子 = d )を結合させる 核融合反応起こすと, ヘリウム3( )と 中性子 ( n ) と, 3.27 MeV のエネルギーが 放出されることを 説明しました. その反応過程は

と表されました. この過程でなぜ 3.27 MeV という 大きなエネルギーが 出るかという理由は, 2個の重陽子の結合エネルギー の合計が 4.449 MeV であるのに比べて, ヘリウム3 の結合エネルギーが 7.719 MeV と大きくなるからである, と説明しました.
 このように, 軽い原子核の結合エネルギーは 核毎にかなり差があります. そのばらつきを利用して 核融合反応から大きな エネルギーを得るわけです. 下図軽い原子核の結合エネルギーの 実験値を詳しく見てみましょう.

  「原子核の結合エネルギー」
この図は原子核の1核子あたりの 結合エネルギーの実験値です. 2−3:「原子核の質量,結合エネルギー」のページの最後の図 と同一内容ですが, 特に質量数が 20 以下の 軽い原子核のデータが 詳しくわかるように 描かれています.

   上図 を一目見て わかるように, 陽子 (p) や 重陽子 (d) や ヘリウム3( )又は 3重陽子 (t) が 融合して, ヘリウム4( )のような 少し重い原子核になる 反応が起きると, 大きなエネルギーが 放出されるであろうことが 推定されます.
 上の (1) 式d - d 反応 以外に, 実際に利用可能であると 考えられているものには, 次のような 核融合反応があります.

 これらの核融合反応のうち, 最も利用しやすい反応は (2) 式d-t 反応 です 下図参照).

  「d-t 反応」
重陽子と三重陽子とを 高速で衝突させると 融合反応が 起こり, 17.58 MeV もの 大きなエネルギーが 放出されます.

   これらの核融合反応を 連続的に行なわせて, エネルギーを取り出す装置が 核融合炉 です. しかし,これを実際に 実現するために 第一に解決しなければならない 最大の困難は, プラズマの閉じ込め の問題です.

  「プラズマの閉じ込め」
 例えば上記の d-t 反応考えましょう. d は 重水素 の原子核, t は 三重水素 の原子核です. 原子核は常にその周りを 電子が取りまいて,電気的に 中性の原子 として 存在します. 重水素や三重水素の 原子から電子を剥ぎ取った イオンが d や t です. これらのイオンのガスを プラズマ といいます.
 ですから,d や t は +e の荷電を 持っています. 従って,d や t の間には ク−ロン斥力が働きます. この斥力にうち勝って d と t とを近づけてやらないと 融合反応は起きません. つまり,ものすごい 高圧力・高密度の プラズマを作らなければ なりません. d と t とを融合させるため クーロン斥力に うち勝って両者を 近づけるため, ものすごく高速で 衝突させなければ なりません.そのため プラズマの温度を 1億度以上しなければなりません.
 そのような 高温・高圧プラズマを閉じ込めるには どうしたらよいか, ということが プラズマの閉じ込め の問題です. 現在,これを解決するために 国際協力を行なっています.

  「核融合資源の問題」
 重陽子 d は 重水素原子核です.重水素は 重水 から 採ることができます. 重水素は資源的に極めて 豊富で,海水中の水素原子の 0.015% (原子数の割合) あり, 分離するのも比較的 簡単です.
 三重陽子 t は 三重水素 の原子核です. 三重水素は天然に存在せず, 人工的に作らなければ なりません. それには (3) 式融合反応を利用するのが よいとされています. なお,リチウム ( Li ) の 資源は地球上にかなり 存在するといわれています.
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