身の回りの元素は宇宙のどこでどのように生まれたか?
現在の宇宙における元素の起源の謎を解決することは、原子核物理学が抱えている大きな課題の1つです。私たちは、原子核の質量や励起準位の性質等を加速器実験により測定し、天体核反応過程を解明する「宇宙核物理」に取り組んでいます。
安定核領域の元素合成過程(寺西)
ビッグバン元素合成や恒星中の準静的な核反応過程では、安定核領域の核反応が主要な役割をしています。私たちは、これらの核反応を支配する共鳴状態の性質を、主にタンデム加速器を用いて調べています。最近は特に、恒星進化と元素合成において重要な「トリプルアルファ」(三つのα粒子から炭素12を生成する反応)の反応率の精密決定に取り組んでいます。


不安定核領域の元素合成過程(寺西・高峰・庭瀬)
恒星進化の末期の爆発的天体環境(超新星爆発、中性子星合体、X線バースト等)では、不安定核領域を核反応過程が進みます。このため、私たちは理化学研究所のRIBF等において、不安定核ビーム(RIビーム)を用いた実験を進めています。特にr-過程等に関与する不安定核の質量を革新的な精密質量分光器 MRTOFを用いて精密測定しています。また、中性子や陽子捕獲反応率を支配する共鳴状態の測定に取り組んでいます。
